入院中の退屈さを快適にする暇つぶし術 寝たきりの患者さんの場合は?
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父の入院から1か月が過ぎました。入院がこんなに長くなって、しかもこんなに衰弱することになってしまうなんて・・・。

 

あの時、安易に入院をお願いした自分を少し後悔しています。

 

圧迫骨折で救急車で病院に運ばれて、そのまま入院。

嚥下機能の低下で、7月23日から今日8月18日まで絶食状態が続いています。

 

なかなか食事をさせてもらえません。

骨と皮ばかりにやせてしまいました。

 

とくにここ数日は、ストレスが最大限になってきたようで、

ほんとにつらそうです。

 

自分で本を読んだりパクロスをしたりできない寝たきり患者さんの場合、
入院中の退屈さやストレスに対して、
どうやって気持ちをやわらげて時間を過ごさせてあげればよいか、
父の例をご紹介してみます。

入院のストレスがたまっている父

 

 

入院が長くなり、ストレスマックスの父。

息子がずっとベッドの横についていますが、それでも私のところに何度も電話がかかってきます。

 

もう どうすればいい?

と電話口でいらいらした声。

いつ来てくれるの?
5時半か6時に仕事が終わったら行くよ。
今すぐ来て。

 

身の置き所がなく、体も動かず自分ではどうしようもないのだと思います。

かわいそうでなりません。

 

そこで、父のベッドの横にいる息子に「お話を読んであげて」と頼みました。

息子は、太宰治の『グッドバイ』を音読してくれたそうです。

太宰治の未完の小説ですが、とてもおもしろかったそうで、

父もたいへん気が紛れたようです。

 

私が行ってから、「アラビアンナイト」はどうだろうかと思い、アマゾンで検索。

すると、0円で3作品がkindleにダウンロードできることがわかりました。

 

「アラビアンナイト」が良いのではと思った理由

 

『千夜一夜物語』は、夜な夜なおもしろい物語を語ることで、

一夜ずつ命を長らえていったというもの。

それだけに、聞く人を夢中にさせるおもしろさがあるはず。

 

また、耳で聞く文学は、やはり、こういった語る場面では、

紙に書かれた小説よりおもしろいのでは、と考えたからです。

 

「アラジン」を読み始めた

 

そこで「アラジン」を読み始めてみました。

訳は菊池寛。

なんとなく古めかしい訳だと思ったら、菊池寛の訳でした。

もちろん、さすがのすばらしい訳です。

 

「アラジン」というお話。

細かい部分をきちんと読んだことがあったかなかったか、

その記憶さえも定かでなく、へぇ、そうだったの。

へぇ、なるほど。

自分で読みながらも、それはそれはおもしろい。

 

隣で聞いたいた息子も夢中になっていました。

「ちょっとトイレ行くから、その間読むの待って。」

とリクエストするほど。

 

30分ほど読みましたが、面会時間も終わりとなり、

続きは明日に持ち越しました。

 

父は精神的にたいへん落ち着いた様子になりました。

良かった。

 

お話の朗読は、入院患者さんにはおすすめです
手持ち無沙汰の時も、千夜一夜物語は、やっぱりおもしろいですよ。

語るに適した作品です。

 

『千夜一夜物語』(『アラビアンナイト』)とは?

 

 

ところで、『千夜一夜物語』(『アラビアンナイト』とも呼ばれる)とは、

どういった物語集なのでしょうか。

 

ペルシャの国で2世紀のころにまとめられた物語集。

 

毎晩、生娘を宮殿に呼んでは翌朝にはその娘の首をはねるという困った王様がいました。

そんな時に、シェヘザードという新しい妻が、毎晩おもしろいお話をし続け、

その続きが知りたいがために、王はシェヘラザードの首をはねるのを延期して、ついに千夜が過ぎ、シェラザードの命も助かった、

その時のおもしろいお話を集めたもの、

ということになっています。

 

お話のおもしろさで王を魅了しなければ、

妻のシェラザードは首をはねられてしまうのですから、

必死だったでしょうね。

 

「この続きはまた明日。」

「明日はもっとおもしろくなりますよ。」

 

と、佳境に入ったところでその晩は話を打ち切り、話の続きを聞きたい王は、

一晩一晩シェラザードを生き続けさせたのです。

 

集められているお話は、

ペルシャ・インド・ギリシャなどの各地の民話です。

 

この民話の持つ力というのが大きいのです。

 

民話が音読・朗読に適しているわけ

 

「民話」というのは、別の言い方をすれば「昔ばなし」

 

「むかしむかし、おじいさんとおばあさんが・・・」

で始まるあのお話ですね。

 

長い長い時間、生き続け語られ続けたお話です。

それほど長い間語られるということは、

もちろん、それだけの価値のあるおもしろさを持っているということ。

だからこそ、残ってきているのです。

 

時間というふるいかけられてなお伝えられているものなのです。

 

さらには、紙に書いたものではなく、

人の口から口へ伝えられたものであるということ。

その点が、病院のベッドに横たわり、

自分自身で本を読むことをできない患者さんに語ってあげるのに適しているという大きな特徴となります。

 

耳で聞いてわかりやすくおもしろいお話

それが民話。

 

しかも「アラビアンナイト」は異国のお話であるだけに、

私たち日本人には予想もつかない世界が展開されます。

 

その魅力も見過ごせません。

広大な空をワシの背中に乗って飛んだり、

山盛りのルビーやエメラルドなどの宝石を40皿も金のお皿に用意したり。

 

 

ストーリーの展開も早く、わくわくして聞くものをあきさせません。

 

伝承文学の魅力の秘密は、次のようなところにあります。

 

昔話の法則

 

昔話には、実は法則というものがあります。

 

ここからは、少々専門的なお話です。

 

昔話は、伝承文学のため、伝承に適した形態を保持しています。

いくつかピックアップしてみましょう。

 

①悪人と善人がはっきり分かれている。

悪人が改心して善人になることはありえない。

狼が、

「子豚ちゃん、ごめんなさい。

これからはいい狼になります。

それから、狼と子豚は仲良く暮らしました。」

 

というのはありえません。

 

 

伝承文学は耳で聞くものですから、

白黒はっきりしていなければなりません。

 

途中で悪いものが良いものに変わるようなわかりにくいものは許されないのです

 

ですから、昨今のいい加減な改悪された絵本の類には目をひそめたくなるものがあります。伝承文学の本質と法則を無視した絵本を、子供たちに与える無知な母親であってはほしくないとも思います。

 

②勧善懲悪に徹している

 

善人は最後には幸せになり、

悪人は最後にはこらしめられる。

 

それがなければ、子供たちは安心してお話を繰り返す聞くことはできませんね。

そうでなければ、長い長い年月を、そのお話が生き残ってくるはずはないのです。

 

③最初と最後、はっきりした色が好まれる
昔話の場合、成功するのは末子と決まっています。

これも、昔話の法則によるものです。

 

伝承文学は耳で聞きますから、

とにかくわかりやすくなければならない。

 

ですから、極端を好みます

 

一番下が成功するのはそういう理由です。

 

また、色に関しても、同じことが言えます。

 

鬼ガ島に、桃色の鬼、レモン色の鬼、ラベンダー色の鬼、

などというのは存在しませんね。

 

 

鬼は赤か青と決まっています。

また、他のお話でも、白の羊か黒の羊、とういように、

はっきりした色が提示されてきます。

 

耳で聞いてわかりやすく。

イメージがしやすく。

それが基本です。

 

昔話の法則、細かいところはまだまだあるんですが・・・。

つい、熱くなってしまいます。

今日はこのあたりでおしまいにしますね。

 

入院中の寝たきりの家族の退屈を紛らしてくれたのは・・・

 

ということで、入院中の父のいらいらいを軽減させてくれたものは、

何千年の時を経てなお生き続けている『千夜一夜物語』のお話だったということです。

 

他にも、伝承文学の類でしたら、

まず失敗はないと思います。

 

kindleが威力を発揮

 

今回は、kindleが威力を発揮してくれました。

 

小さなkindkeさえあれば、

たくさんの書物を持ち込まなくとも、

いろいろなお話を読んであげることができます。

 

しかも、ありがたいことに、アマゾンでは著作権の切れたお話は、

多くが0円で購入できます。

 

朗読している者にとっても、おもしろくて時間を忘れるのでありがたいことです。

隣にいる付き添い家族も引き込まれます。

 

いつか、自分自身にゆとりができたら、

入院患者さんへの読み聞かせボランティアをしたいなぁ

とひとつ夢ができました。

 

昔話は、もともと小さい子供たちだけのものではありませんでした。

遠方から来たお客をもてなし際にも、楽しいお話が語られたということです。

そう、つまり昔話というのは、大人たちが楽しんできたものなんです。

 

文学のもつ力

 

文学は人間にはやはり大切なもの。

そんな認識を持てたことも嬉しいことでした。

文学部って今やどの大学に行けば残っているのかわからないほど、肩身の狭い学部になってしまいましたから。

 

ぜひぜひ、病気で寝たきりで、精神的にまいっている方に、

楽しい昔話を語って差し上げてくださいね。

 

 

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