父は3月16日に退院しました。
圧迫骨折で入院したのが昨年の7月半ば。
すぐに誤嚥性肺炎となり食事ストップされ、本日4月12日に至るまで、半年以上食事を摂ることを許されていません。
一時は身長170cmの父が体重38kgまで落ちてしまい、栄養管理のずさんさと、リハビリをさせずに寝たきりにしておく日本の病院の実態を知らされることとなりました。
つらい入院生活を強いられた父が気の毒でなりません。
さらには、病院の看護師のTVで報道されているのと同じいじめに近い対応なども目のあたりにしました。
父には強いトラウマが残ってしまったのではと、かわいそうでなりません。
病院での栄養と体重
当初、食事をストップされて数週間、血管からの点滴のみで父はみるみるやせていきました。
リハビリのときに立ち上がった姿を見ると、ふらふらして、入院前とはまるで別人のよう。みるかげもなくやせていました。
たまたま韓国に行っていた息子から、韓国の病院の様子などを聞いたのですが、韓国でこのような激やせ事態になれば、病院によって虐待を受けたとすぐに訴訟になってしまうそうです。
韓国では、しっかり栄養を入れて、リハビリをどんどんさせて元気にしてなるべく短期間で退院させるのだそうです。日本とは真逆の治療で、うらやましい限りです。
胃ろう回避するために大学病院に転院
最初の病院には、1か月しかいられないとのことで、転院先を探さなければなりませんでした。
私の希望は、お口のリハビリをしっかりしてくれるところ。
でも、そのような病院は見つかりませんでした。
できることなら胃ろうにならずに、口から食べられるようになってほしいと願っていました。
でも、最初の病院ではお口のリハビリをしてくれるSTさんは、週に2回しかリハビリに来てくださいません。お子様の具合が悪くお休みをとられていたそうです。リハビリもたいしてしてくれないのに、
「では、胃ろうを作るために胃腸科の診断の予約を・・・。」
と言われたときには、頭にきました。
けれども、これが日本の老人医療の実態だったのです。
嚥下機能の低下がみられたらすぐに経口食をやめて胃ろうへ
簡単に胃ろうにしてしまうのが現在の日本のやり方。
今となっては、食事をストップし、栄養も入れてくれなかった最初の医者をうらみます。父は、その頃はまだ自分で食べる能力がありました。入院前まで自分で食事を摂っていたのですから。
なんとか「胃ろうを回避したい」
との思いから、記憶をたどって思い出したのが夫の同級生の出世頭で現在は大学病院の教授をしているドクター。
昔、夫の大学の同級生がTVで「自分の口で食べることの大切さ」について語り、病院で実践している特集が組まれていたのを見たことを思い出し、その友人が教授を務める大学病院への転院をさせてもらいました。
受け入れていただいたのは、とてもありがたかったのですが、実態はひどいものでした。
あの大学病院の3か月がなかったら、父はこれほど弱ることはなかったと思います。
最悪の大学病院での3か月
大学病院では、高カロリー栄養が入れてもらえると思いきや、結果的には体重が38kgまで落ち、骨と皮ばかり、筋肉がなくなった状態にされた3か月を過ごすことになりました。
まず、リハビリが皆無といってよい状態。
ベッドの脇に立ち上がるだけのリハビリしか行われず、ほとんど寝たきりの状態。
しかも、大学病院は人手が極端に足りておらず、ナースコールをしても看護師さんはなかなか現れません。空のナースステーションでは、コールが鳴りっぱなし。でも、誰もいない、といった状況でした。
父はみるみるやせていき、
「人間の足って、ここまで細くなるのか。」
と、父の足を見た私はほんとうに驚きました。
大学病院で唯一収穫だったのは、パーキンソン病と思われていた父が、実はパーキンソンではなかったということだけでした。
そういえば、パーキンソンの薬は効き目がなく、副作用ばかり強いでの、途中で服用をやめていたのでした。
脳梗塞の後遺症による脳の萎縮が原因で動きが悪くなっていたとのこと。
治療としては、リハビリしかないとのことでした。
人に介助してもらうことが大好き。
自分で動きたくない父の習性が、体の不自由さを招いていたということがわかりました。
でも、大学病院のひどい環境のせいで、胃ろうを作ることもできないほどの血液検査の結果は悪くなり、最悪の状態で地元の病院に転院となりました。
地元の病院でみるみるよくなる
地元の病院で、鼻から管を入れてしっかり栄養を入れてもらうようになり、父の血液検査の結果はみるみる改善し、1か月あまりで胃ろうを作ることができるまでに回復しました。
この病院の医者から、
「大学病院では栄養もとても少なかったようなので、これからどんどん入れていきますから。」
と言われ、その回復ぶりに目を見張るほどでした。
自宅から30分あまりのため、私は自分が帯状疱疹になったとき以外、毎日通って、父のリハビリをしました。
病院のリハビリは数十メートルふらふら歩くだけで、ほとんど意味のないものでした。でも、リハビリしてもらうだけ、まだいいほうだったんです。他の患者さんは、とてもとてもおとなしく、1日中、じいっと寝ているだけでした。
ほんとうにかわいそうです。
私は父を毎日歩かせました。
父には、歩行能力があり、なぜ今までしっかりしたリハビリをしてくれなかったのか、はがゆい思いを味わわされました。病院のリハビリの情けなさ。
これが日本の病院の実態です。
父は毎日スクワット30回できるほどに回復しました。
韓国からスカイプを通して、息子がフォームの指導をしてくれました。
2月6日に胃ろうの手術
血液検査の結果が良くなった父は、2月6日に胃ろうの手術を受けることができました。
「さぁ、これでどんどん栄養を入れてもらえる!」
私は、とても喜びましたが、そこでまたびっくり。
1日の栄養量は1200kcalのままなのです。
体の小さな人も、父のように身長170cmある人も栄養量は同じです。
主治医に量を増やしてもらうように頼んでも、まったくだめ。
「じゅうぶん足りています。
リハビリをしても、何カロリーも消費するわけではないので、だいじょうぶです。」
という回答がくるばかり。
でも、素人が考えても身長170cmで体重が40kgほどしかないのに、足りているとは思えません。靴がぶかぶかになってしまうほどのやせかたです。あのやせた状態で
「栄養は足りています」
と言い切る日本の医療は異常です。
韓国の老人医療の現状
そんなとき、韓国にいる息子が、韓国の老人医療の実態を詳しく調べて教えてくれました。
韓国の病院レベルが日本の医療レベルと超えたのは2010年だそうです。
韓国の医療が、それほどに進化していることを初めて知りました。
なぜ日本の医療が遅れていて、韓国が進んだのか、その理由も少しだけわかってきました。
韓国で向上心のある者は、積極的にアメリカに留学し、アメリカの最先端医療を学んで自国に還元しているから、どんどん進むのです。
一方、日本はすばらしいと思い込まされている日本人は、今や世界からずいぶん取り残されているのに、そのことに気づかず、「日本はすばらしい。」と思い込まされたまま井の中の蛙状態になっていて、学ぼうとしないので、進歩がありません。
さらには、わけのわからない規制にがんじがらめになっていることも、よりより医療ができない原因のひとつでは、と素人ながらに感じています。
韓国の病院事情といえば、20年も前に私が韓国語を習っていたころは、医者に行くと料金が高いので、薬局ですませる人が多い。そのため、薬剤師の地位がとても高い。
薬局といえば、薬局で、雑貨なども一緒に販売するドラッグストアのようなところはない。
という状態でした。
それが今やまったく違うのですね。
息子が韓国の病院に入るようなことにならなければ、いまだ知らないままだったと思います。
韓国では国民皆保険制度ができていて、医療費の負担は1割のみ。
しかも、もともとの医療費が日本より安いのではないかということです。
ベッド数が足りないので、リハビリ患者を長く入院させてはくれないそうです。
リハビリ患者に長居をされたら、病院の経営にもマイナス。
患者の負担も増すので、どんどん栄養を摂らせ、リハビリをがんがんさせて、早く退院させるのだそうです。
日本のようにちんたらしていません。
韓国の病院の栄養事情
日本では栄養制限のようなものがあるらしく、父の場合、胃ろう栄養は1日1200kcalという考えられない低栄養です。でも、韓国にはそのようなものは決められておらず、とにかくどんどん栄養を入れるそうです。
もちろん、経口できる人にも、どんどん食べさせます。
元気がなかったり、落ち込んだり、死にたくなるような人は栄養が足りないから、ますますどんどん食べさせると、元気になって回復していくそうです。
韓国の病院でのリハビリ事情
日本の場合、老人がケガなので入院すると
「入院すると弱っちゃうのよね。」
というのが一般的です。
「うちもそうよ、入院してからすっかり弱ってしまって。」
と誰もが言い、みんな不思議に思っていないようです。
でも、考えてみたら病院に入って悪くなるなんておかしなことです。
病院に入ったら、元気になって退院してくれなければいけないはずです。
先日、訪問介護の方がいらしたとき、
「先週よりますますお元気になりましたね。
やっぱりご自宅に帰ると違うわね。」
とおっしゃっていました。
看護士さんまでそのように言われるとは・・・。
病院にいたほうが元気がなくなるのが常識なんて、とんでもない国です。
息子の話によれば、韓国では、栄養をどんどん入れてリハビリをどんどんさせるとか。
最近は日本でも看護師さんと介護の方のお仕事が分かれてきていますね。
韓国では、しっかり分かれていて、患者さんの多くは自費でヘルパーを雇うそうです。
その費用は1日約1万円と高額です。
自分の世話が自分でできない老人などの場合、ほとんどこのヘルパーを雇うそうです。
ヘルパーは身の回りの世話はもちろんですが、1日中つききりで患者にリハビリをさせます。
理学療法士の仕事はリハビリの方法を教えること。
その他の時間は患者自身が、ヘルパーの助けを借りて、自分で多くの時間をリハビリに費やすのです。
理学療法士は毎日、
「昨日は何時間リハビリをしましたか?」
と尋ねるそうです。
多い人なら、1日6~8時間ものリハビリをするそうです。
たくさん栄養を摂って、たくさんリハビリをする
そうやって、韓国の患者さんは短期間で回復して元気になって退院されていくそうです。
病院で状態が悪くなったらすぐ訴訟
父のように、体重が38kgなどということになったら、栄養をしっかり与えず虐待したということで、すぐに訴訟になるそうです。
そもそも、病院にいて、栄養が足りずリハビリもしっかりしてくれない、状態がどんどん悪くなった、となれば訴訟です。それがひどければ、すぐにデモが起こるそうです。
病院としては、訴訟を起こされたら面倒だし、そもそもそのようなリハビリでベッドと占領する患者さんは利益にもならないので、早く良くして追い出したい。
患者の側として、長く入院するとヘルパーの費用がかさんでたいへん。
ということで、必死のリハビリをこなし、どんなに長くても1か月くらいで回復して退院していくそうです。
今回の父の状態を伝えて相談した韓国人の方は、
「それはひどい。怒りを覚える。」
と言われたそうです。
ほんとうに父はかわいそうでした。
でも、病院のほとんどの患者さんが、そういったかわいそうな状態に置かれています。リハビリさえもしてもらえず、一日中目をつぶっていたり、天井を見つめていたり。
胃ろうから、1日1200kcalの栄養だけを頼りに、おむつを交換してもらい、ベッドから起き上がることもなく毎日を過ごしています。
ほんとうにひどい話です。
筋トレの知識が父を救った
父の場合、かわいそうな期間が長かったものの、経口の食事ができない今、なるべく早く胃ろうをつくってもらって退院することが急務でした。
息子の筋トレの知識と、韓国の病院の治療方法を知ったことのおかげで父は救われたと思います。そうでなければ命を奪われていました。
今は、日に日に元気になっています。
胃ろうを作ってもらってからは、毎日外出をして、ザバス ホエイプロテイン100などたくさんの栄養を流し込みました。
ネットで評判の良かったプロシュアなども使ってみました。
胃ろう手術のため、数日リハビリも中止して寝たきりになった父は、以前に増してふらふらになっていました。
歩くのもおぼつかないほどでした。
そこでまず、栄養を入れたんです。
本人も、「栄養を入れてくれて楽になってきた。ほんとうに体がつらかった。」
と言いました。
日本の医療はおかしいです!
長くなりましたので、続きは後日。